クラレのポリオール製品群 統合設計
ポリエステル(P)、ポリカーボネート(C)、三官能(F)ポリオールを組み合わせたポートフォリオにより、相乗効果を最大化。MPDテクノロジーとの統合を前提に精密設計されています。
構造が生み出す優れた流動性 MPD組み込み設計
分岐構造により結晶化を抑制し、優れた流動性と安定した粘度特性を実現。配合設計の自由度が向上します。
X=Polyester or Polycarbonate compound
耐久性を支える分子設計 MPD組み込み設計
メチル分岐構造が疎水性を高めることで、優れた耐加水分解性を実現。長期にわたり、材料性能とシステム信頼性の維持に貢献します。
メチル分岐構造が支える長期耐久性:加水分解に強く、長く使える材料へ
材料劣化は、クラック、剥離、タック(粘着化)といった形で現れますが、その多くはポリマー主鎖構造に由来する加水分解反応が起点となっています。従来の直鎖型アジピン酸ポリオールは、高いエステル密度と親水性を持つため、水分子が主鎖へ接近しやすく、加水分解による劣化が進行しやすいという課題があります。
クラレポリオールは、この根本課題を分子設計から見直しました。MPDを組み込んだ主鎖構造では、メチル分岐が立体障害として機能し、水分子の接近を抑制しています。これにより、優れた耐加水分解性と長期耐久性を実現します。
クラレは、材料寿命の延長を通じて持続可能性に貢献します。ポリウレタンシステムの長寿命化により、総所有コスト(TCO)の低減と材料廃棄物削減を支援します。
持続可能な材料へ。
性能検証:ポリウレタンの促進劣化試験 極めて厳しい環境条件下における長期的な分子構造の安定性の実証データ
以下の促進劣化試験(100℃の水中浸漬)は、C3位のメチル分岐が物性保持に及ぼす定量的影響を示しています。
図1:加水分解環境下における物性保持比較
沸水という極めて厳しい加水分解条件下で、ウレタン試験片を7日間評価した結果、クラレポリオールは高い機械特性の維持に貢献します。一方、従来のPBA系ポリオールからなるウレタン試験片では加水分解による劣化が進行し、材料性能が大きく低下する結果となりました。
耐久性を重視した構造:クラレポリオールの用途展開
材料性能のベンチマーク:MPD系ポリオールが実現する性能バランス
ポリウレタン材料に求められる主要な性能を比較することで、クラレポリオールの特長が明確になります。従来は両立が難しかった耐薬品性、柔軟性、耐加水分解性、透明性を、分子設計によって実現します。
| 物性 | ポリエーテル (従来品) | ポリエステル (従来品: PBA) | クラレポリオール アジピン酸タイプ(MPD系ポリエステル) | クラレポリオール テレフタル酸タイプ (MPD系ポリエステル) | 固体ポリカーボネート (従来品) | クラレポリオール Cシリーズ (MPD系ポリカーボネート) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 柔軟性 | ◎ 優れる | ○ 良好 | ◎ 優れる | × 限定的 | △ 普通 | ○ 良好 |
| 低温特性 | ◎ 優れる | △ 普通 | ◎ 優れる | × 限定的 | △ 普通 | ◎ 優れる |
| 耐加水分解性 | ○ 良好 | × 限定的 | ○ 良好 | ◎ 優れる | ◎ 優れる | ◎ 優れる |
| 耐酸性・耐アルカリ性 | ○ 良好 | × 限定的 | ○ 良好 | ◎ 優れる | ◎ 優れる | ◎ 優れる |
| 透明性 | ○ 良好 | × 限定的 | ◎ 優れる | ◎ 優れる | × 限定的 | ◎ 優れる |
| 溶剤安定性 | × 限定的 | ○ 良好 | ○ 良好 | ◎ 優れる | ○ 良好 | ○ 良好 |
| 熱安定性 | × 限定的 | ◎ 優れる | ○ 良好 | ◎ 優れる | ◎ 優れる | ○ 良好 |
| 耐候性 | × 限定的 | ◎ 優れる | ◎ 優れる | ○ 良好 | ◎ 優れる | ◎ 優れる |
| 界面接着性 | × 限定的 | ○ 良好 | ◎ 優れる | ◎ 優れる | △ 普通 | ○ 良好 |
MPD設計が生み出す性能バランス
クラレポリオールが、従来の直鎖型ポリオールを上回る性能を実現する理由は、MPDに由来する分岐構造にあります。このメチル分岐構造が、柔軟性、耐加水分解性、流動性といった従来は両立が難しかった特性を、高次元で実現させています。
1. 結晶化を抑える分子設計:透明性と低温柔軟性の向上
従来の直鎖状ポリオールは、ポリウレタンのソフトセグメント成分として使用した場合、分子鎖が規則的に配列して結晶化しやすく、柔軟性の低下や低温脆化、透明性低下の要因となることがあります。
- 設計ロジック:MPD由来のメチル分岐構造が分子鎖の規則配列を乱し、結晶化を抑制
- 結果:ポリマーが非晶質状態を維持しやすくなり、高い透明性と優れた低温柔軟性を実現
2. 疎水性を高める分岐構造:耐加水分解性と長期耐久性の向上
一般的なポリエステル系材料では、エステル結合が水分子に曝露されやすく、加水分解による劣化が課題となります。
- 設計ロジック:メチル分岐が立体障害として機能し、水分子の侵入を抑制
- 結果:優れた耐加水分解性を発揮し、酸性・アルカリ性環境下でも長期安定性に貢献
3. 界面制御による濡れ性向上:接着性と加工性の強化
高性能樹脂では分子運動性の制約により、基材との界面形成が不十分になる場合があります。
- 設計ロジック:MPD独自の構造により分子運動性が向上し、硬化過程における基材表面への濡れ広がり性や追従性が向上
- 結果:基材表面への濡れ性が向上し、機械的・化学的に強固な界面接着を実現
クラレポリオールは、分子レベルでの構造によって、透明性、耐加水分解性、密着性を高次元で両立し、高性能樹脂設計に新たな可能性を提供します。
求める耐久性能についてご相談ください 耐加水分解性、柔軟性、低温特性など、お客様の用途要件に応じて最適なポリオールグレードをご提案します。ぜひ一度ご相談ください。
関連資料
高性能な材料設計は分子レベルから始まる
製造効率と長期耐久性という、従来は両立が難しかった性能バランスを、分子設計から解消します。
PUD(コーティング、バインダー等)、TPU、ウレタンアクリレート(コンフォーマルコーティング等)、合成皮革、インキ、CASE用途など、材料に求められる性能はますます高度化しています。
クラレのポリオールソリューションは、こうした高度な配合課題に対し、分子構造に基づいた設計アプローチを提供します。