トレードオフの解消:加工性と性能の両立
自動車や航空宇宙分野におけるコンフォーマルコーティングには、極端な温度変化と高湿度という過酷な環境への耐性が求められます。従来は、高い耐熱衝撃性を得るために高分子量樹脂を使用せざるを得ず、その結果、粘度が大きく上昇し、溶剤添加や塗膜厚の制約といった設計上の妥協が必要でした。
さらに、標準的なポリカーボネートポリオール(PHC)は、ポリイミドや銅といった低表面エネルギー基材に対する接着性が不十分な場合があり、フレキシブルプリント回路(FPC)用途において信頼性確保が課題となっていました。
クラレの解決策:加工性と耐久性を両立する設計へ
過酷環境下でも信頼性を維持
クラレポリオール(Cシリーズ)は、従来トレードオフの関係にあった「加工性」と「実使用環境での信頼性」を高次元で両立します。
- 優れた流動性による加工性向上:MPD由来の分岐構造が結晶化を抑制し、高い流動性を実現。クラレポリオールC-2090は、標準的な固体ポリカーボネートジオール(PHC)と比較して約62%低い粘度を示し、溶剤使用量の削減や無溶剤処方に貢献します。
- 銅(Cu)・ポリイミド(PI)への優れた接着性:MPDベースの構造により、FPC用途で重要となる銅およびポリイミド基材への密着性を向上。優れた初期接着性を発揮します。
- 熱衝撃下でも柔軟性を維持:クラレポリオールの非晶構造により、-40℃環境下でも柔軟性を維持。さらに90℃以上の急激な温度変化においても微細クラック発生を抑制し、100回を超える熱衝撃サイクル下でも防湿性を維持します。
性能の検証:C-2090が実現する低粘度と高耐久性
以下のデータでは、クラレポリオールC-2090が、従来のポリカーボネートポリオール(PHC)における「加工性」と「耐久性」のトレードオフをどのように改善するかを示しています。
図1:C-2090 | PHCを超える性能バランスMPD由来の構造により、以下の性能向上を実現:
- ウレタンアクリレートに変換した際に粘度を62%低減(202 Pa·s → 77 Pa·s)
- Cu/PIへの優れた接着性を確保
- 熱サイクル耐性を維持(-40℃~90℃)